富山県内には、現在、大規模なCATV(ケーブルテレビ)は5事業者ある。5事業は、
富山市を除き、すべて呉西地区で運営されており、呉東地区ではなじみが薄いかもしれな
い。しかし、一言でいえば、CATVはすごい可能性を持っており、呉東地区のみなさん
にも注目してもらいたい。CATVの有無やサービスの質が、定住する市町村を選択する
時の判断基準になるくらいのインパクトがある。CATVがないことが、呉東地区から移
出する要因にもなりうるように思う。
では、CATVとはどんなものだろうか。
CATVは、テレビ放送が良好に受信できない難視聴地域に対する対策として発生した、
有線事業である。昭和47年の有線テレビジョン放送法の制定によって自主放送が可能と
なり、今後は次世代通信網構築の一翼を担うと期待されている。
平成7年度末のCATV施設は、6万3,963もあるが、引き込み端子数が501以上
の大規模なものは1,738施設である。また、平成8年6月現在、都市型CATVは、
全国で200施設あり、県内では、「ケーブルテレビ富山」と「高岡ケーブルテレビ」が
都市型CATVである。
さて、CATVにはどんな効果があるのだろうか。
富山県内で視聴できる民間放送は、いちお3局である。(石川や新潟は4局であり、県内
でも、県境では朝日放送系列の電波を受信できるところはあるが...)
富山から大都市圏などへ進学・就職した場合、真っ先に「富山は田舎だったんだ」と感じ
るのは、視聴できるテレビチャンネルの少なさ(選択性のなさ)である。逆に、都会か
ら、高校総体などで富山に宿泊した場合、テレビチャンネルの少なさで象徴される情報量
の少なさを肌で感じ、将来富山に進学・定住するなんて絶対いやだ!と、拒絶感を覚える
であろう。
私自身は、東京からUターンしてからずっと北陸に住んでいて、富山でも「平凡な生活」
をするには充分な情報がある。しかし、若者は、マンガの発売が数時間でも早いとか、テ
レビでもより多くのチャンネルから「選びたい」というような、「プラスαの欲求」を満
たしたいのであり、残念ながら、プラスαの欲求を満たせるような環境整備が富山では遅
れている。
でも、テレビだけをとれば、別世界がある。それは、CATVである。
月々の基本使用料3000円程度で、20〜30チャンネル視聴できる。また、アンテナ
の更新費用や雪の心配がないなど、加入するメリットは充分にあると思う。若者に人気の
MTVなんかも基本使用料の中に含まれている。
CS放送を直接受信すれば、アダルトなど、CATV側の判断で放送しないオールジャパ
ンの情報を入手できる利点はあるが、地域の情報を発信する自主放送チャンネルがあると
いう面で、私はCATVによる地元密着型の多チャンネル化に注目したい。
CATVのメリットは、多チャンネル化だけではなく、実はもっと大きな効果が「放送外
サービス」でもたらされる可能性がある。
次回の報告で、今年4月に開局する「ケーブルテレビ八尾」を例にとり、その魅力を探っ
てみたい。
●富山県内のCATV
会社名 サービス開始 特記事項
ケーブルテレビ富山 H8/4
高岡ケーブルテレビ H3/5 インターネット 接続サービス(申請中)
新湊ケーブルネット H6/12 CATV電話など(検討中)
ケーブルネット氷見 H4/7
となみ衛星通信 H3/6 CATV電話など(検討中)
ケーブルテレビ八尾 H9/4 CATV電話、月額 2,500円
※ケーブルテレビ八尾以外は、月額利用料 3,000円
※高岡ケーブルテレビの インターネット接続サービスは、月額 3,500円 (定額制) で今年 9月よりサービス開始予定。