「考え」

北日本新聞 <談論自由席>


98.5
■「個」を尊重する富山に

富山の「遊び」について考える。それが、テーマパーク研究会に集まった参加者の最初の思いであった。私は、もう一つ、「若者が住みたい富山」を考えてみたいと思った。1年を経過して得た1つの結論は、若者の「個」を尊重するということだ。
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若者は大人に対して不信感を持っている。そして、その不信感はどこから来るかを私なりに分析すると、「組織」に対する不信感である。大人が作り上げた一方通行の組織。そして一方通行の常識。
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県内のある大手企業の新人研修で、茶髪自粛令が出された。富山の若者はまじめなのか、みんな自粛令に従い、茶髪を返上?したそうだ。きっと納得できぬまま大人社会の「令」に従ったのだろう。茶髪は誰に迷惑をかけるわけでもない。「個」を否定され惨めな思いだけが残ったに違いない。一方的に大人の常識を押しつけるのではなく、可能な限り本人の意思を尊重し、認めていくことが必要である。会社が発展するためにも、茶髪かどうかという表面的な「入口」で人を評価するのではなく、成果という本質的な「出口」で人を評価していくべきではないだろうか。
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茶髪自粛令は氷山の一角。富山の若者は多くの場面で大人の不条理な論理を強いられている。つかみどころのない大人社会。抵抗してものれんにうで押しの大人社会。若者たちは表面的には従うかもしれないが、富山には大きなしっぺ返しが待っている。それは、若者たちが、「無言の反乱」として、富山を"さりげなく"去っていくという選択だ。
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若者たちは、学校や地域とのかかわりから、組織の弊害を直感で見抜いている。善悪の本質を見分ける若者の能力はすごい。「個」が尊重されない一方通行の組織には、若者は敏感に拒否反応を示す。大人たちが力関係で何とかしようとしても、表面に現れない弊害のみが増幅していくだけである。若者に魅力ある県になるためには、ズバリ、「個」を尊重する県になる必要があると私は思う。「個」を尊重した上で、「個」の自立を促す社会的な環境が整っていれば最高だ。
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テーマパーク研究会では、いろいろな「富山の宝もの」を探し、大切にしていく活動をしていきたい。「富山の宝もの」は、若者も含め、富山に住む私たち自身であると私は確信している。

テーマパーク研究会
谷口新一


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